40代で転職しても、定年後の再雇用が一律に不利になるわけではありません。ただし、再雇用されるのは原則として「定年を迎えた会社」であるため、転職すると、転職先の定年年齢や継続雇用制度が基準になります。
つまり、40代の転職が定年後の再雇用に影響するかどうかは、年齢よりも転職先の制度、雇用契約、定年までの勤続期間によって変わります。
40代で転職すると、前の会社での再雇用はどうなる?
転職して前の会社との雇用関係が終われば、通常は前の会社の定年後再雇用の対象にはなりません。定年後の再雇用は、現在雇用されている会社が、定年を迎えた従業員に対して行う制度だからです。
たとえば、40歳でA社からB社へ転職した場合、60歳または65歳の定年を迎えるのはB社です。A社に再雇用制度があっても、B社へ転職した後にA社の制度を利用できるとは限りません。
したがって、転職後の再雇用を考えるなら、前の会社ではなく転職先の就業規則や雇用条件を確認する必要があります。
再雇用への影響を決める4つの確認ポイント
1. 転職先の定年年齢
まず確認するのは、転職先の定年年齢です。定年が60歳なのか、65歳なのかによって、再雇用を検討する時期が変わります。
- 定年が60歳の場合:60歳以降に再雇用制度を利用する可能性がある
- 定年が65歳の場合:65歳までは定年による再雇用の手続きが発生しない
- 定年制がない場合:定年後再雇用とは異なる働き方になる
同じ会社でも、正社員、契約社員、専門職などで定年年齢が異なることがあります。求人票だけで判断せず、採用時の労働条件通知書や就業規則で確認しましょう。
2. 65歳までの雇用確保措置
日本では、事業主に対して65歳までの雇用を確保するための措置が求められています。代表的な方法は、次の3つです。
- 定年を65歳以上に引き上げる
- 定年後も継続して雇用する制度を設ける
- 定年制度を廃止する
そのため、定年が60歳の会社でも、定年後に継続して働ける制度を設けている場合があります。ただし、具体的な雇用形態、賃金、勤務日数、契約期間は会社ごとに異なります。
「65歳まで働ける制度がある」ことと、「現在と同じ条件で働ける」ことは別です。再雇用後は、契約社員などに雇用形態が変わり、給与や役職、勤務時間が変わることがあります。
3. 再雇用後の労働条件
転職先に再雇用制度があっても、定年前と同じ仕事や給与が続くとは限りません。次の項目を確認してください。
- 再雇用後の雇用形態
- 契約期間と更新の条件
- 給与、賞与、退職金
- 勤務日数と勤務時間
- 担当業務や役職の変更
- 社会保険の加入条件
特に、転職時の年収だけでなく、定年後にどのような条件になるかを確認することが重要です。転職先の担当者には、「定年年齢」「定年後の継続雇用の有無」「再雇用後の一般的な雇用条件」を具体的に質問しましょう。
4. 勤続年数が影響する制度
40代の転職では、転職先での勤続年数が、定年後の再雇用そのものよりも、退職金や企業年金などに影響することがあります。
退職金制度には、勤続年数や退職時の基本給を計算に使うものがあります。転職によって前の会社の勤続年数が引き継がれなければ、転職先では勤続年数がゼロから計算される可能性があります。
ただし、退職金制度や企業年金の扱いは会社ごとに違います。転職前に、次の点を比較すると判断しやすくなります。
| 確認項目 | 転職前の会社 | 転職先 |
|---|---|---|
| 定年年齢 | 現在の就業規則を確認 | 採用時の労働条件を確認 |
| 65歳までの雇用確保措置 | 制度の内容を確認 | 制度の内容を確認 |
| 再雇用後の雇用形態 | 契約社員などの条件を確認 | 再雇用後の条件を確認 |
| 退職金 | 転職時に受け取るか確認 | 勤続年数の計算方法を確認 |
| 企業年金 | 移換や受給条件を確認 | 加入制度と受給条件を確認 |
転職すると再雇用されにくくなることはある?
40代で転職したことだけを理由に、定年後の再雇用ができなくなるとはいえません。転職先の制度上、定年後も継続雇用の対象となる条件を満たしていれば、再雇用を受けられる可能性があります。
一方で、次のような場合は、転職によって定年後の働き方が変わります。
- 転職先に再雇用制度がない
- 転職先の定年年齢が前の会社より低い
- 再雇用後の勤務日数や給与が大きく異なる
- 退職金や企業年金の勤続年数が通算されない
- 転職先の事業縮小などにより、定年後の職務が変わる
ここで注意したいのは、法律上の雇用確保措置があっても、定年後に必ず定年前と同じ職位・給与で働けるという意味ではないことです。再雇用後の具体的な条件は、会社の制度と労働契約によって決まります。
40代で転職する前に確認する方法
転職による定年後の不利益を抑えたい場合は、応募や内定の段階で制度を確認します。口頭の説明だけでなく、可能な範囲で就業規則や労働条件通知書の内容を確認しましょう。
- 求人票や会社案内で、定年年齢を確認する
- 定年後の継続雇用制度があるか質問する
- 再雇用後の雇用形態、契約期間、勤務時間を確認する
- 給与や賞与がどのように変わるか確認する
- 退職金と企業年金の加入条件、勤続年数の扱いを確認する
- 回答内容を労働条件通知書や就業規則で照合する
質問するときは、「定年後も働けますか」だけでなく、「定年は何歳ですか」「再雇用後はどのような契約になりますか」「再雇用の実績や標準的な条件を教えてください」と具体的に聞くと、判断材料を集めやすくなります。
40代の転職で特に注意したいケース
転職先の定年が60歳の場合
転職先の定年が60歳の場合は、60歳以降の継続雇用制度を確認する必要があります。再雇用後の給与や勤務日数が大幅に変わる可能性もあるため、定年までの年収だけで判断しないことが大切です。
転職先の定年が65歳の場合
定年が65歳なら、少なくとも定年を迎えるまでは、定年後再雇用の手続きは通常必要ありません。ただし、65歳以降も働けるかどうかは別の制度や会社の判断によるため、65歳以降の勤務を希望する場合は別途確認が必要です。
管理職や専門職として転職する場合
管理職や専門職では、定年後に役職を外れる、担当業務が変わる、契約社員として再契約するなどの扱いが設けられていることがあります。転職時には、定年前だけでなく、役職定年や定年後の職務も確認しましょう。
転職すべきか迷ったときの判断基準
定年後の再雇用を重視するなら、次の優先順位で比較すると判断しやすくなります。
- 定年年齢が何歳か
- 65歳まで働ける制度があるか
- 再雇用後の仕事内容と給与がどうなるか
- 退職金や企業年金がどう計算されるか
- 転職によって得られる年収、経験、勤務地などのメリットがあるか
転職先の定年後の制度が不明なまま、現在の会社の制度と同じだと考えるのは避けましょう。再雇用の条件が明確で、転職による収入やキャリア上のメリットも大きい場合は、定年後の制度を含めて比較できます。
反対に、退職金の勤続年数や再雇用後の給与が重要なのに、転職先から具体的な説明を受けられない場合は、条件を確認できるまで結論を急がない方が安全です。
まとめ
40代の転職は、定年後の再雇用に直接の年齢制限として影響するわけではありません。ただし、転職すると再雇用の基準は前の会社ではなく、転職先の定年年齢や継続雇用制度になります。
転職を検討するときは、定年年齢、65歳までの雇用確保措置、再雇用後の給与・勤務条件、退職金や企業年金の扱いを確認してください。最初に行うべきことは、転職先の就業規則や労働条件通知書で「定年」と「定年後の継続雇用」の条件を確認することです。







